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2016/06/06 第46回 "睡眠の質は時計遺伝子依存的な神経発火タイミングの揺らぎで決まる" (田渕理史)

2016/05/12 5:26 に Administrator JSSB が投稿
第46回JSSBセミナーのご案内です。

田渕理史
ジョンズホプキンス大学 ポスドク(日本学術振興会海外特別研究員)
Wu Lab (PI: Mark Wu, Department of Neurology)

睡眠の質は時計遺伝子依存的な神経発火タイミングの揺らぎで決まる
要旨
睡眠はヒトを含めた生物全体の活動維持に重要であることは言うまでもないが,これまでの研究から「睡眠時間」だけでなく「睡眠の質」が健康維持や充実した社会活動に重要であることが強く示唆されている。しかしながら,睡眠の質を制御している分子機構および神経生理機構については,まだよく分かっていない。今回,睡眠の質は時計遺伝子に依存する神経活動の発火タイミングの揺らぎによって決まることを,ショウジョウバエの睡眠行動と概日時計ニューロンの神経活動をモデルとして用いることで明らかにしたので報告する。まず,ショウジョウバエの睡眠の質を昼間午睡と夜間睡眠との間で中途覚醒頻度を指標に比較することで,ショウジョウバエの睡眠も,ヒトと同じく,昼間午睡よりも夜間睡眠の方が質の高い睡眠であることを確かめ,時計遺伝子変異体ハエを用いることによって,この夜間睡眠特有の睡眠の質の高さは,時計遺伝子の有無に依存することを見出した。次に,睡眠中のショウジョウバエの概日時計ニューロンから穿孔パッチクランプ記録法によって神経活動を計測したところ,夜間睡眠特有の睡眠の質の高さは活動電位の平均発火頻度に依存しない神経活動の発火タイミングの揺らぎによって決定されることを見出した。最後に,時計遺伝子支配下にあるWAKE遺伝子の関連分子群の遺伝子発現を制御することによって,ショウジョウバエの概日時計ニューロンの神経発火タイミングの揺らぎを活動電位の平均発火頻度とは完全に分離させた様式で自在に制御することが可能であり,この制御がショウジョウバエの睡眠の質の制御のために必要十分であることを見出した。これらの結果から,睡眠の質は,時計遺伝子依存的な神経活動の発火タイミングの揺らぎによって決まることが明らかとなり,睡眠の質を制御するためには概日時計ニューロンの神経活動の平均発火頻度ではなく発火タイミングの揺らぎに着目することが有効である可能性が示唆された。

参考文献
Tabuchi M*, Sakurai T*, Mitsuno H, Namiki S, et al. (2013) PNAS. 110(38):15455-15460
Hamada S*, Tabuchi M*, Toyota T, Sakurai T, et al. (2014) Chemical Communications. 50(22):2958-2961.
Liu S, Lamaze A, Liu Q, Tabuchi M, et al. (2014) Neuron. 82(1): 151-166.
Tabuchi M, Lone SR, Liu S, Liu Q, et al. (2015) Current Biology. 25(6):702-712.
Tabuchi M, Dong L, Inoue S, Namiki S, et al. (2015) Journal of Neurophysiology. 114(5): 3002-3013.
Liu, S*, Liu, Q*, Tabuchi, M, and Wu, M.N. Cell. in press.


開始時間; 6月6日 17:30-
会場;Abel Library (Woods Basic Science Building 303)
スポンサー;現在調整中

会場へのアクセス:
車の方→N. Wolfe stに路駐可(~$0.5/hr)
1. Preclinical Teaching Building (PCTB、N. WolfeとMonumentの北東角)に入る。
2. フロントでIDをみせてサインアップし、リストバンドもらう。
3. 行き先は303 WBSBと書いてください。
4. Green Cafeを通り過ぎた奥のエレベータで3階へ。
5.  エレベーターを降りてすぐ左の突き当たりが303 WBSB (Abel Library) となります。
*Rangosビル入り口はエレベーター起動に専用バッヂが必要です。

当日の連絡先
410-419-6500(中村cell)
 HP: http://www.jssbaltimore.com/home

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