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2016/04/22 第44回 "グルタミン酸シナプス可塑性の調節機構" (荒木陽一)

2016/04/16 6:43 に Administrator JSSB が投稿
第44回JSSBセミナー開催のお知らせです。今回は、以前よりセミナーをお願いしておりました、Richard Huganir Labの荒木陽一先生にお話を伺えることになりました。神経科学のふたつの大きな流れである、シナプス可塑性の分子機構、それに認知障害や疾患の分子機構の両方において非常に重要な意義をもつ研究成果についてお話いただきます。ぜひお誘いあわせの上ご参加ください。

グルタミン酸シナプス可塑性の調節機構 

荒木 陽一 先生

(Department of Neuroscience, Johns Hopkins University School of Medicine, Kavli Neuroscience Discovery Institute)

要旨:グルタミン酸シナプスは中枢神経系の主要な興奮性のシナプスであり、神経の情報伝達の場である。その神経同士の接続の強さは外界の情報に応じてダイナミックに変化、調節されており、プラスチックのように可逆性があることから、シナプスの可塑性と呼ばれる。近年、シナプスの可塑性がヒトの記憶、学習の物質的な実体であることが示されてきているが、その詳細な細胞生物学的なメカニズムは未だ明らかになっていないことが多い。例えば、シナプスの接続性が強まる長期増強(LTP)という現象では、NMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)からポストシナプス内にカルシウムが流入し、カルモジュリンキナーゼII(CaMKII)が活性化する。これにより、最終的に「アクチン細胞骨格系の再構成と伸長によるポストシナプスの体積増加」と、「AMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)のポストシナプス膜への挿入」が起こり、シナプスの接続性が増強されることがわかっている。またこの一連のカスケードの中で低分子量GTP結合タンパク質(Small G Protein)のRas, Rac1の活性化が必須の現象であることも報告されていたが、初めに活性化されたCaMKIIが、それらの下流の分子群に情報を伝達しているメカニズムは不明であった。

私たちは、ポストシナプスに高度に集積するSynGAPという分子がシナプス刺激に応じてCaMKII依存的にダイナミックに移動することが、CaMKIIのシグナルを下流に伝達するのに必須の現象であることを見出したので、報告する (Araki et al 2015)。近年の次世代シークエンサーの進歩により多数のSynGAPの変異がヒトの知的障害や自閉症で見出されているが (Hamdan et al 2011)、興味深いことにそのほぼ全ての症例で私達の見出した現象に必須の領域が欠失していた。さらにSynGAPの機能欠失マウスはヒトの疾患の特徴を非常に良く模すが、Rasの活性を調節する低分子量化合物により、その病態を改善することができた。

References

Araki Y, Zeng M, Zhang M, Huganir RL. 2015. Rapid Dispersion of SynGAP from Synaptic Spines Triggers AMPA Receptor Insertion and Spine Enlargement during LTP. Neuron 85: 173-89
Hamdan FF, Gauthier J, Araki Y, Lin DT, Yoshizawa Y, et al. 2011. Excess of de novo deleterious mutations in genes associated with glutamatergic systems in nonsyndromic intellectual disability. American journal of human genetics 88: 306-16



開始時間; 5時半 
 
会場;Abel Library (Woods Basic Science Building 303)
 
会場へのアクセス:
 
車の方→N. Wolfe stに路駐可(~$0.5/hr)
 
1. Preclinical Teaching Building (PCTB、N. WolfeとMonumentの北東角)に入る。
2. フロントでIDをみせてサインアップし、リストバンドもらう。
3. 行き先は303 WBSBと書いてください。
4. Green Cafeを通り過ぎた奥のエレベータで3階へ。
5.  エレベーターを降りてすぐ左の突き当たりが303 WBSB (Abel Library) となります。
*Rangosビル入り口はエレベーター起動に専用バッヂが必要です。
 
当日の連絡先
410-419-6500(中村cell)
 HP: http://www.jssbaltimore.com/home
 
中村
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